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静かなカフェで整える(2025年11月12日)

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11月12日 メンタルウェルネス 一日一話  昼休みのことでございました。 少し歩いた先に、小さなカフェを見つけたのです。 店内には、静かなピアノの音と、コーヒー豆を挽くやさしい音が響いておりました。 席につき、温かなカップを両手で包みますと、張りつめていた肩の力がふっと抜けていくのを感じました。  朝からずっと、仕事のこと、人のこと、あれこれと思い巡らせ、心が落ち着かぬままでございました。 けれども、この店の中では、時間が少しゆっくりと流れているように感じられました。 スマホを置き、ただ立ちのぼる湯気を見つめる――。 「何もしない時間」もまた、心を整える大切なひとときであることに気づきました。  外では風が木の葉を揺らしておりました。 その向こうには、冬を思わせる冷たい空気の中で、やわらかな陽の光が窓辺を静かに照らしていたのです。 その光は、まるで疲れた心にまで染みわたるようでございました。  午後の予定を思い出し、そっと背筋を伸ばしました。 もう一口、コーヒーを味わってから、また歩き出そう。 そう思えるだけで、不思議と心が軽くなったのでございます。 12 November Mental Wellness One Thought for the Day  During my lunch break, I wandered a little further than usual and came upon a small café. Inside, soft piano music played, mingling with the gentle sound of coffee beans being ground. As I cupped the warm mug in both hands, I felt the tension in my shoulders slowly melt away.  Since morning, my mind had been restless — filled with thoughts of work, of people, of things left undone. Yet here, time seemed to move more slowly, as though inviting me to b...

雨上がりの希望(2025年11月11日)

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11月11日 メンタルウェルネス 一日一話  昼過ぎのことでございました。 朝から降り続いていた雨がようやく止み、窓の外には、陽の光を受けて輝く街の姿が広がっておりました。 濡れたアスファルトがきらりと光を返し、まるで世界そのものが洗い清められたようでございます。 ベランダの植木鉢にも小さな水の粒が残り、そのひとつひとつが宝石のように輝いておりました。  仕事の合間に、ふとカーテンを開けて外を眺めますと、 朝から心の中にあった重たいものが、いつの間にかすっと軽くなっているのに気づきました。 「雨も悪くないな」――そんな言葉が、自然と口をついて出ました。  人生というものも、まことにこの天気のようなものでございます。 心にも雨が降る日がある。しかし、その雨があるからこそ、晴れ間のありがたさが身にしみるのです。 どんなに曇っていても、その雲の上には、いつも太陽が輝いている。 そう思えば、心は不思議と穏やかになるものでございます。  机に戻り、再び仕事に向かいました。 窓から差し込む光が、手元のノートをやさしく照らしておりました。 その光はまるで、私の心の奥にもそっと希望の灯をともしてくれたようでございました。 11 November Mental Wellness One Thought for the Day  By early afternoon, the rain that had fallen all morning finally came to an end. Outside the window, the wet pavement caught the sunlight, gleaming as if the whole world had been gently washed clean. Raindrops clung to the leaves of the potted plants on the balcony, each one catching the light like a tiny gem.  During a short break from work, I drew back the curtain and simply watched. The heaviness I had felt since morning...

心を温める香り(2025年11月10日)

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11月10日 メンタルウェルネス 一日一話  朝、通勤の途中でございました。 いつもの道すがら、パン屋の前を通りかかりますと、ふわりと香ばしい匂いが漂ってまいりました。 バターと小麦が溶け合うその香りが、ひんやりとした朝の空気の中にやさしく広がっていく。 その瞬間、子どものころ、母に連れられて行った商店街の情景がふっとよみがえってまいりました。 焼きたてのパンを袋ごと頬に当てたときの、あのぬくもり――。  匂いというものには、実に不思議な力がございます。 それは時間を超え、人の心の奥深くにしまわれた思い出を呼び起こし、やさしく包み込んでくれるのです。 忙しい日々の中で忘れかけていた安心や温もりを、何気ない香りがそっと思い出させてくれる。 それはまるで、心の中に灯をともすような力でございます。  今日もまた、仕事が待っております。 けれども、あのパンの香りを心の片隅に残しておこう。 そう思うだけで、不思議と背筋が伸び、前を向く力が湧いてまいります。  たとえビルの谷間を抜ける風が冷たくとも、 心の奥には、あの香りのぬくもりが静かに漂っている。 そうした小さな幸せを感じ取る感性こそ、人生を豊かにする源ではないでしょうか。 10 November Mental Wellness One Thought for the Day  On my way to work this morning, I passed by the bakery I often walk past. A gentle, toasty fragrance drifted through the cool air — butter and wheat mingling softly together. In that moment, a memory from childhood returned: walking with my mother through the local shopping street, pressing a warm loaf of bread, still in its bag, against my cheek — and feeling utterly safe.  Scents have a curious power. They cross the...

小さな幸せを見つけて(2025年11月9日)

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11月9日 メンタルウェルネス 一日一話  コンビニからの帰り道でございました。 ふと空を見上げますと、ビルの間にまんまるな月が静かに浮かんでおりました。 冷たい風が頬をなで、思わず肩をすくめながらも、心の中に小さな灯がともるような気がいたしました。  今日も一日、慌ただしく過ぎていきました。 うまくいかないこともあり、少し落ち込むこともありました。 けれども、こうして空を見上げて「きれいだな」と感じられる自分がいる。 そのことに気づくだけで、心がふっと救われるのです。  幸せというものは、誰かが与えてくれるものではありません。 自分の中で「いいな」「ありがたいな」と思える瞬間を見つけ出す。 その感性こそが、心を支え、生きる力になるのではないでしょうか。  家へと向かう道すがら、街路樹の葉が街灯に照らされてキラリと光っておりました。 「今日も悪くなかったな」――そんな言葉が、自然と口からこぼれました。 どんな日であっても、小さな幸せを感じ取る心さえあれば、人生は豊かに彩られていくものです。 9 November Mental Wellness One Thought for the Day  On my way home from the convenience store, I happened to look up. Between the tall buildings, a full moon hung quietly in the evening sky. A cool breeze brushed my cheek; I pulled my shoulders in, yet somehow, a small warmth flickered within me.  It had been another busy day — a few things went wrong, and my spirits sank more than once. Still, to be able to look up at the sky and think, “How beautiful,” felt like a quiet kind of grace. And in that moment, I realised that peace doesn...

人の温かさにふれて(2025年11月8日)

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11月8日 メンタルウェルネス 一日一話  帰りの電車の中でのことでございました。 一日の仕事を終え、少し疲れた体をシートに預けておりますと、窓の外はすっかり暗くなり、自分の顔がぼんやりと映っておりました。 そのとき、隣に座っていた年配のご婦人が、私の落とした手袋を拾い上げてくださったのです。 「ありがとうございます」と申し上げると、その方はにこりと微笑み、「寒くなりましたね」と一言。  たったそれだけのやり取りでございましたが、胸の奥にふっと温かいものが灯りました。 一日の疲れや、誰にも知られぬ努力に押しつぶされそうだった心が、その笑顔ひとつでゆるやかにほどけていくのを感じたのです。  人の優しさというものは、決して派手ではありません。 しかし、そのさりげない思いやりこそが、どれほど多くの人の心を支えていることでしょう。 小さな言葉、小さな行いの中にこそ、人の真の温かさは宿るのだと思います。  降りる駅が近づくころ、窓の外には街の灯りがきらきらと広がっておりました。 「自分もまた、誰かの心を少し温められる人でありたい」――そう心に刻みながら、静かにホームに降り立った夜でございます。 8 November Mental Wellness One Thought for the Day  On the train home, I sank into my seat, weary from the day’s work. Outside, the world was dark, and in the window’s reflection I saw my own tired face, slightly blurred by the glass. Just then, an elderly lady beside me picked up a glove I had dropped. “Thank you,” I said, and she smiled gently. “It’s getting cold, isn’t it?” she replied.  It was only a brief exchange, yet something within me warmed. The quiet kindness in her tone seem...

朝の静けさに包まれて(2025年11月7日)

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11月7日 メンタルウェルネス 一日一話  まだ外がほんのりと明るみはじめたころ、湯気の立つマグを両の手で包みました。 窓の外には、秋の終わりを告げるような冷たい空気が漂っております。 街はまだ眠りの中にあり、遠くで鳥の声だけが静かに響いておりました。  スマートフォンに手を伸ばすのをやめ、ただ静かに呼吸を整える。 忙しい一日が始まる前の、わずか数分の静けさ。 けれども、その短いひとときが、心を深く落ち着かせてくれるのです。  「今日も、きっと大丈夫」――そう小さくつぶやいてみる。 すると、不思議なことに、体の奥から力が湧いてまいります。 人は、焦るよりも、比べるよりも、自分の歩幅で進むことが大切でございます。 それが、日々を穏やかに生きるということではないでしょうか。  マグの最後の一口をゆっくりと飲み干し、外に出てみますと、朝の光が街全体をやわらかく包みはじめておりました。 新しい一日が、また静かに動き出す――。 その当たり前のことが、実にありがたく、心を温めてくれるのです。 7 November Mental Wellness One Thought for the Day  The world was only just beginning to lighten when I clasped a steaming mug between my hands. Through the window, the air carried the crisp chill that marks the close of autumn. The city still slept, and only the faint song of a bird could be heard in the distance.  Instead of reaching for my phone, I took a slow, steady breath. Before the day’s busyness begins, there is a brief pocket of stillness — a few precious minutes that bring the mind gently into balance.  “Today will be all ...

夕暮れに感じる達成感(2025年11月6日)

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11月6日 メンタルウェルネス 一日一話  夕方になりますと、オフィスの窓の外が次第にオレンジ色に染まり、街の空気が穏やかに変わってまいります。 今日も一日、すべての仕事をやり終えたわけではありません。 しかし、デスクの上のメモにはいくつかのチェックマークが並んでいる。 「まあ、これでええやないか」と、心の中でそっとつぶやきました。  完璧ではなくとも、確かに前へ進んでいる。 そう思えた瞬間、肩に入っていた力がふっと抜けていく。 人間というものは、できなかったことばかりを数えるよりも、今日できたことを素直に見つめるほうが、ずっと心が軽くなるものでございます。  外に出ますと、ひんやりとした風が心地よく頬をなでてくれます。 街灯が灯り始め、夕暮れから夜へとゆるやかに移り変わる景色の中に、一日の終わりの安らぎを感じる。 大きな成果でなくとも、一歩でも進めた自分を静かに褒めてやること。 それが、明日を迎える力になるのです。  「明日もまた、自分らしく働かせていただこう」 そんな思いを胸に、私は夕暮れの街をゆっくりと歩き出しました。 日々の積み重ねの中にこそ、人生の喜びはあるのだと感じながら。 6 November Mental Wellness One Thought for the Day  As evening fell, the city beyond the office window turned a gentle shade of orange. I hadn’t managed to finish everything on my list today, yet the notes upon my desk bore several small checkmarks — quiet proofs of progress. “That’s enough for today,” I murmured softly to myself.  Perfection is not the measure of worth; steady steps forward are. And in that simple thought, the tension in my shoulders eased. It is kinder to the heart t...

午後のひと休みで整える(2025年11月5日)

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11月5日 メンタルウェルネス 一日一話  午後三時を過ぎたころでございました。 パソコンの画面を見つめておりますと、どうも文字が少しかすんで見える。 「集中しているつもり」でも、気がつけば肩に力が入り、心にも少しばかり張りつめたものがある。  そこで、ふと席を立ち、コーヒーを淹れることにしました。 湯気とともに漂う香りが部屋にひろがると、張りつめていた心がゆるやかにほどけていく。 その香りの中に、ほっとする自分がいるのです。  「少し休ませてもらおう」 そう思い、窓の外に目を向けました。 ビルの合間にのぞく空は、静かに雲を流し、心の中に風が通り抜けていくようでした。 何もしていないのに、心の奥にゆとりが戻ってくる――不思議なものです。  人は、働く時間も大切でありますが、立ち止まる時間もまた同じように尊い。 それは、心を整えるための“見えぬリセットボタン”のようなものです。 小さな休みを取ることで、次の一歩がより穏やかで確かなものとなる。  カップの底に残った一口を飲み干し、再びデスクに向かいました。 さっきよりも肩の力が抜け、心が軽くなったように感じます。 人の心も仕事も、急がず焦らず、整えながら進むことが肝要でございます。 5 November Mental Wellness One Thought for the Day  It was a little past three in the afternoon when I noticed the words on my computer screen beginning to blur. Though I believed myself to be focused, I realised my shoulders were tense, and my mind, too, had grown tight.  I rose to make a cup of coffee. As the gentle aroma filled the room, I felt the tension within me ease, little by little. Sometimes, a simple fragrance can remind us to breathe again.  “Let...

連休明けの朝、心を整える

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11月4日 メンタルウェルネス 一日一話  連休が明けた朝、カーテンを開けますと、淡い光が部屋の中にやさしく差し込んでおりました。 三連休が終わり、またいつもの日常が戻ってまいります。 少し体が重いようにも感じましたが、深く息を吸い込んでみると、不思議と心が落ち着いてまいります。  「焦らなくてよい。今日できることを、一つずつ。」 そう心の中で静かに自分に語りかけるのです。 週のはじまりを完璧にしようとすれば、かえって心は疲れてしまうもの。 だからこそ、まずは“整えること”から始めるのがよいのです。  お気に入りのマグにコーヒーを注ぎ、その香りを楽しむ。 それだけでも、心のエンジンがゆっくりと温まり、前に進む力が湧いてまいります。 外の空気はまだ冷たく感じられますが、その分だけ清らかで、心を洗うようでもあります。  ゆっくりと歩いて出かけましょう。 急がず、焦らず、一歩ずつ歩みを進めていけばよいのです。 そうすれば、今日という日もきっと、悪くない一日になるはずです。 4 November Mental Wellness One Thought for the Day  The morning after a long weekend. As I drew the curtains, a gentle light filtered softly into the room. The holidays had passed, and the familiar rhythm of daily life began again. My body felt a touch heavy, yet when I took a deep breath — letting the cool air fill my lungs — my mind began to settle.  “Do not rush. Take today one step at a time.” I whispered these words quietly to myself. To make the start of the week perfect is a burden too heavy for the heart. It is better, I thought, to begi...

文化の日の午後にて(2025年11月3日)

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11月3日 メンタルウェルネス 一日一話  文化の日の午後。街にはどこか穏やかな空気が流れておりました。 カフェの窓際では、静かに本を読む人、スケッチブックを広げ筆を走らせる人、音楽に耳を傾けている人――。 それぞれが思い思いの「文化」を楽しみながら、ゆったりとした時間を過ごしておられます。  私もまた、コーヒーを片手にして気になっていた本を開きました。 ページをめくるたびに、心の中に新しい風が吹き込み、まるで見知らぬ景色を旅しているような気持ちになります。  文化の日というのは、何かを学ぶ日であると同時に、心を豊かに養う日でもありましょう。 普段は走り続けている心を、今日は少し休ませてみる。 誰かの創り出した作品にふれ、自分の感性にそっと耳を傾けてみる。 そうしたひとときの中に、明日への活力の芽が宿るのです。  夕暮れ時、街の灯りが一つ、また一つとともり始めました。 その光を見つめながら、私の心の中にも小さな明かりがやさしくともりました。 文化とは、決して遠いものではない。 それは、日々の暮らしの中に静かに息づく“心の豊かさ”なのだと、あらためて感じた午後でございました。 3 November Mental Wellness One Thought for the Day  On the afternoon of Culture Day, a gentle calm seemed to settle over the city. At a café window, someone read quietly, another sketched upon a page, and yet another listened to soft music — each person, in their own way, finding joy in the simple act of creation and reflection.  I, too, sat with a cup of coffee and opened a book I had long meant to read. With every turn of the page, new images unfolded in my mind — as though I were travelli...