投稿

人の温かさにふれて(2025年11月8日)

イメージ
11月8日 メンタルウェルネス 一日一話  帰りの電車の中でのことでございました。 一日の仕事を終え、少し疲れた体をシートに預けておりますと、窓の外はすっかり暗くなり、自分の顔がぼんやりと映っておりました。 そのとき、隣に座っていた年配のご婦人が、私の落とした手袋を拾い上げてくださったのです。 「ありがとうございます」と申し上げると、その方はにこりと微笑み、「寒くなりましたね」と一言。  たったそれだけのやり取りでございましたが、胸の奥にふっと温かいものが灯りました。 一日の疲れや、誰にも知られぬ努力に押しつぶされそうだった心が、その笑顔ひとつでゆるやかにほどけていくのを感じたのです。  人の優しさというものは、決して派手ではありません。 しかし、そのさりげない思いやりこそが、どれほど多くの人の心を支えていることでしょう。 小さな言葉、小さな行いの中にこそ、人の真の温かさは宿るのだと思います。  降りる駅が近づくころ、窓の外には街の灯りがきらきらと広がっておりました。 「自分もまた、誰かの心を少し温められる人でありたい」――そう心に刻みながら、静かにホームに降り立った夜でございます。 8 November Mental Wellness One Thought for the Day  On the train home, I sank into my seat, weary from the day’s work. Outside, the world was dark, and in the window’s reflection I saw my own tired face, slightly blurred by the glass. Just then, an elderly lady beside me picked up a glove I had dropped. “Thank you,” I said, and she smiled gently. “It’s getting cold, isn’t it?” she replied.  It was only a brief exchange, yet something within me warmed. The quiet kindness in her tone seem...

朝の静けさに包まれて(2025年11月7日)

イメージ
11月7日 メンタルウェルネス 一日一話  まだ外がほんのりと明るみはじめたころ、湯気の立つマグを両の手で包みました。 窓の外には、秋の終わりを告げるような冷たい空気が漂っております。 街はまだ眠りの中にあり、遠くで鳥の声だけが静かに響いておりました。  スマートフォンに手を伸ばすのをやめ、ただ静かに呼吸を整える。 忙しい一日が始まる前の、わずか数分の静けさ。 けれども、その短いひとときが、心を深く落ち着かせてくれるのです。  「今日も、きっと大丈夫」――そう小さくつぶやいてみる。 すると、不思議なことに、体の奥から力が湧いてまいります。 人は、焦るよりも、比べるよりも、自分の歩幅で進むことが大切でございます。 それが、日々を穏やかに生きるということではないでしょうか。  マグの最後の一口をゆっくりと飲み干し、外に出てみますと、朝の光が街全体をやわらかく包みはじめておりました。 新しい一日が、また静かに動き出す――。 その当たり前のことが、実にありがたく、心を温めてくれるのです。 7 November Mental Wellness One Thought for the Day  The world was only just beginning to lighten when I clasped a steaming mug between my hands. Through the window, the air carried the crisp chill that marks the close of autumn. The city still slept, and only the faint song of a bird could be heard in the distance.  Instead of reaching for my phone, I took a slow, steady breath. Before the day’s busyness begins, there is a brief pocket of stillness — a few precious minutes that bring the mind gently into balance.  “Today will be all ...

夕暮れに感じる達成感(2025年11月6日)

イメージ
11月6日 メンタルウェルネス 一日一話  夕方になりますと、オフィスの窓の外が次第にオレンジ色に染まり、街の空気が穏やかに変わってまいります。 今日も一日、すべての仕事をやり終えたわけではありません。 しかし、デスクの上のメモにはいくつかのチェックマークが並んでいる。 「まあ、これでええやないか」と、心の中でそっとつぶやきました。  完璧ではなくとも、確かに前へ進んでいる。 そう思えた瞬間、肩に入っていた力がふっと抜けていく。 人間というものは、できなかったことばかりを数えるよりも、今日できたことを素直に見つめるほうが、ずっと心が軽くなるものでございます。  外に出ますと、ひんやりとした風が心地よく頬をなでてくれます。 街灯が灯り始め、夕暮れから夜へとゆるやかに移り変わる景色の中に、一日の終わりの安らぎを感じる。 大きな成果でなくとも、一歩でも進めた自分を静かに褒めてやること。 それが、明日を迎える力になるのです。  「明日もまた、自分らしく働かせていただこう」 そんな思いを胸に、私は夕暮れの街をゆっくりと歩き出しました。 日々の積み重ねの中にこそ、人生の喜びはあるのだと感じながら。 6 November Mental Wellness One Thought for the Day  As evening fell, the city beyond the office window turned a gentle shade of orange. I hadn’t managed to finish everything on my list today, yet the notes upon my desk bore several small checkmarks — quiet proofs of progress. “That’s enough for today,” I murmured softly to myself.  Perfection is not the measure of worth; steady steps forward are. And in that simple thought, the tension in my shoulders eased. It is kinder to the heart t...

午後のひと休みで整える(2025年11月5日)

イメージ
11月5日 メンタルウェルネス 一日一話  午後三時を過ぎたころでございました。 パソコンの画面を見つめておりますと、どうも文字が少しかすんで見える。 「集中しているつもり」でも、気がつけば肩に力が入り、心にも少しばかり張りつめたものがある。  そこで、ふと席を立ち、コーヒーを淹れることにしました。 湯気とともに漂う香りが部屋にひろがると、張りつめていた心がゆるやかにほどけていく。 その香りの中に、ほっとする自分がいるのです。  「少し休ませてもらおう」 そう思い、窓の外に目を向けました。 ビルの合間にのぞく空は、静かに雲を流し、心の中に風が通り抜けていくようでした。 何もしていないのに、心の奥にゆとりが戻ってくる――不思議なものです。  人は、働く時間も大切でありますが、立ち止まる時間もまた同じように尊い。 それは、心を整えるための“見えぬリセットボタン”のようなものです。 小さな休みを取ることで、次の一歩がより穏やかで確かなものとなる。  カップの底に残った一口を飲み干し、再びデスクに向かいました。 さっきよりも肩の力が抜け、心が軽くなったように感じます。 人の心も仕事も、急がず焦らず、整えながら進むことが肝要でございます。 5 November Mental Wellness One Thought for the Day  It was a little past three in the afternoon when I noticed the words on my computer screen beginning to blur. Though I believed myself to be focused, I realised my shoulders were tense, and my mind, too, had grown tight.  I rose to make a cup of coffee. As the gentle aroma filled the room, I felt the tension within me ease, little by little. Sometimes, a simple fragrance can remind us to breathe again.  “Let...

連休明けの朝、心を整える

イメージ
11月4日 メンタルウェルネス 一日一話  連休が明けた朝、カーテンを開けますと、淡い光が部屋の中にやさしく差し込んでおりました。 三連休が終わり、またいつもの日常が戻ってまいります。 少し体が重いようにも感じましたが、深く息を吸い込んでみると、不思議と心が落ち着いてまいります。  「焦らなくてよい。今日できることを、一つずつ。」 そう心の中で静かに自分に語りかけるのです。 週のはじまりを完璧にしようとすれば、かえって心は疲れてしまうもの。 だからこそ、まずは“整えること”から始めるのがよいのです。  お気に入りのマグにコーヒーを注ぎ、その香りを楽しむ。 それだけでも、心のエンジンがゆっくりと温まり、前に進む力が湧いてまいります。 外の空気はまだ冷たく感じられますが、その分だけ清らかで、心を洗うようでもあります。  ゆっくりと歩いて出かけましょう。 急がず、焦らず、一歩ずつ歩みを進めていけばよいのです。 そうすれば、今日という日もきっと、悪くない一日になるはずです。 4 November Mental Wellness One Thought for the Day  The morning after a long weekend. As I drew the curtains, a gentle light filtered softly into the room. The holidays had passed, and the familiar rhythm of daily life began again. My body felt a touch heavy, yet when I took a deep breath — letting the cool air fill my lungs — my mind began to settle.  “Do not rush. Take today one step at a time.” I whispered these words quietly to myself. To make the start of the week perfect is a burden too heavy for the heart. It is better, I thought, to begi...

文化の日の午後にて(2025年11月3日)

イメージ
11月3日 メンタルウェルネス 一日一話  文化の日の午後。街にはどこか穏やかな空気が流れておりました。 カフェの窓際では、静かに本を読む人、スケッチブックを広げ筆を走らせる人、音楽に耳を傾けている人――。 それぞれが思い思いの「文化」を楽しみながら、ゆったりとした時間を過ごしておられます。  私もまた、コーヒーを片手にして気になっていた本を開きました。 ページをめくるたびに、心の中に新しい風が吹き込み、まるで見知らぬ景色を旅しているような気持ちになります。  文化の日というのは、何かを学ぶ日であると同時に、心を豊かに養う日でもありましょう。 普段は走り続けている心を、今日は少し休ませてみる。 誰かの創り出した作品にふれ、自分の感性にそっと耳を傾けてみる。 そうしたひとときの中に、明日への活力の芽が宿るのです。  夕暮れ時、街の灯りが一つ、また一つとともり始めました。 その光を見つめながら、私の心の中にも小さな明かりがやさしくともりました。 文化とは、決して遠いものではない。 それは、日々の暮らしの中に静かに息づく“心の豊かさ”なのだと、あらためて感じた午後でございました。 3 November Mental Wellness One Thought for the Day  On the afternoon of Culture Day, a gentle calm seemed to settle over the city. At a café window, someone read quietly, another sketched upon a page, and yet another listened to soft music — each person, in their own way, finding joy in the simple act of creation and reflection.  I, too, sat with a cup of coffee and opened a book I had long meant to read. With every turn of the page, new images unfolded in my mind — as though I were travelli...

小さな達成を喜ぶ午後(2025年11月2日)

イメージ
11月2日 メンタルウェルネス 一日一話  午後三時を過ぎたころ、ようやく一つの仕事に区切りがつきました。 資料を提出し、ほっと息をついたその瞬間、背中の力がすっと抜けていきます。 決して大きな成果ではありません。けれども、「今できることを丁寧にやり遂げた」という思いがあれば、それだけで心が軽くなるものです。  窓の外では、やわらかな陽射しが街を包み、どこからかコーヒーの香りが漂ってきました。 「少し、休ませてもらおうか」――そう思い、カップを手にして一息つきました。 そのわずかな静けさの中で、今日一日の流れをふり返ってみる。  人は誰しも、焦ることもあれば、つまずくこともあります。 けれど、“やりきった”と感じられる小さな瞬間を見つけられれば、それが心の栄養になるのです。  人生とは、大小さまざまな積み重ねのリズムでできております。 そのリズムを大切にしながら、一歩ずつ歩みを続けていく。 その中にこそ、穏やかな充実と喜びが育っていくのではないでしょうか。  小さな達成を喜べる午後――その一瞬を味わえる心を持つことが、明日への活力を生むのです。 2 November Mental Wellness One Thought for the Day  It was a little past three in the afternoon when I finally brought a task to completion. After submitting the documents, I felt the tension in my shoulders melt away. It was not a great achievement by any measure, yet the simple act of finishing something with care made my heart feel lighter.  Outside the window, soft sunlight bathed the city, and the faint aroma of coffee drifted through the air. “Perhaps I’ll rest for a moment,” I thought, wrapping my h...

新しい風を感じて(2025年11月1日)

イメージ
11月1日 メンタルウェルネス 一日一話  朝、玄関を出た瞬間に感じた空気が、昨日より少し冷たうございました。 風が頬をなで、秋から冬へと季節が移ろいつつあることを知らせてくれております。 空は高く澄み、ビルの上にはうっすらと白い雲がたなびいておりました。  ひとつ深呼吸をいたしますと、胸の奥まで新しい空気が届くようで、心がすっと整っていくのを感じます。 「今日からまた、新しい月が始まる」――そう思いますと、自然と背筋が伸びてまいりました。  日々の暮らしの中で、こうして季節の変化を感じることは、心をリセットする大切な機会でありましょう。 昨日までの疲れや迷いも、この風に乗ってどこか遠くへ流れていくように思えます。  人と比べることも、焦ることもない。 自分の歩幅で、一歩ずつ進んでいけばよいのです。 それが結局は、確かな道となっていく。  朝の光が通勤路をやわらかく照らしておりました。 ほんのわずかな変化を感じ取る心こそ、次の一歩を支える力になるのです。 新しい月の始まりに、新しい風を感じながら、今日もまた静かに歩みを進めたいと思います。 1 November Mental Wellness One Thought for the Day  As I stepped out the door this morning, the air felt a little cooler than it had yesterday. A gentle breeze brushed my cheek, whispering that autumn was slowly giving way to winter. The sky was clear and high, with thin white clouds drifting above the city rooftops.  Taking a deep breath, I felt the freshness of the air reach deep within me, steadying both body and mind. “A new month begins today,” I thought, and I found myself standing a little taller. ...

夕暮れに感じる実り(2025年10月31日)

イメージ
10月31日 メンタルウェルネス 一日一話  仕事を終えて帰るころ、空は美しい茜色に染まっておりました。 街路樹の葉はすっかり色づき、風に揺れながら、道をやわらかく照らしております。 その光景を眺めておりますと、ふと一年の終わりが少しずつ近づいていることを感じました。  思い返せば、日々の忙しさに追われながらも、いくつもの小さな挑戦があり、人との出会いもありました。 「やり遂げた」という大きな成果はなくとも、「続けてきた」という事実が、何よりも尊く、誇らしく思えるものでございます。  成長というものは、決して華やかな瞬間の中にあるのではありません。 むしろ、日々の地道な積み重ねの中にこそ、真の実りが育っていくのだと思うのです。  夕暮れの光が街を包み、オレンジ色のやさしさが心の奥を静かに照らしてくれる。 その中で「今日も一日よう頑張った」と、自らに声をかけてみる。 その小さな満足と安らぎこそ、心の実りでありましょう。  夜風が少し冷たく感じる帰り道、私はそっと微笑みました。 “続ける”という営みの中に、人生の温もりと希望がある。 そのことを、秋の夕暮れがやさしく教えてくれたのであります。 31 October Mental Wellness One Thought for the Day  As I left work, the sky was glowing a deep crimson. The trees along the street had turned their full autumn colours, their leaves swaying gently in the breeze and casting a warm light upon the path. Looking up at the evening sky, I felt the quiet approach of year’s end.  In the busyness of each day, there had been many small challenges, many encounters — moments that may have seemed ordinary at the time. Yet now, I find pride not in ...

朝靄に包まれた始まり(2025年10月30日)

イメージ
10月30日 メンタルウェルネス 一日一話  出勤前の街を歩きますと、うっすらとした朝靄が街全体を包んでおりました。 遠くのビルの輪郭がやや霞み、車のライトが白い光をにじませながら行き交っております。 冷たい空気を胸いっぱいに吸い込みますと、頭の奥まで澄みわたるような静けさが広がっていきました。  こんな朝は、世界そのものが少しゆっくりと動いているように感じます。 人の足音や信号の音、バスのエンジン音までもが、どこか柔らかく響いてくるのです。 昨日の慌ただしさも、その靄の向こうに遠ざかっていくように思えました。  「今日もまた新しい一日が始まる」 そう心の中でつぶやいたとき、自然と背筋が伸びてまいりました。 何も完璧である必要はない。大切なのは、この“始まりの呼吸”を感じることであります。  やがて、朝靄の向こうから太陽がゆっくりと顔を出しました。 その光が、自分の心にも届くようにと祈りながら、一歩を踏み出しました。  新しい一日は、いつだって静かなところから始まるものです。 慌てず、焦らず、まずは心を整えて歩き出す。 そうすればきっと、その日もまた良い一日となるでしょう。 30 October Mental Wellness One Thought for the Day  Before work, the city was still veiled in a thin morning mist. The outlines of distant buildings were softly blurred, and the headlights of passing cars glowed through the haze. As I drew in the cool air, a quiet stillness seemed to reach deep into my mind.  On mornings like this, the world appears to move in slow motion. Footsteps, traffic signals, the hum of a bus engine — all sounded gentler, calmer. Even yesterday’s rush felt a little f...